• HOME
  • M&Aと不動産

M&Aにおける法務デューデリジェンスの必要性

 

ある企業を買収しようとする際に、皆様はどのような手順を踏んで買収を進めておられますか?

 

 

例えば、買収しようとしている企業の財産の中に不動産が含まれているということは、多くのケースでありうることと思われます。
また、不動産の譲渡以外にも、買収しようとしている企業のある事業所が賃貸物件に入居しているというケースは多いかと思います。
このような際に、そのような財産ひいてはそのような企業や事業を引き受けてしまっても問題ないか、皆様はきちんと情報収集をされていますでしょうか。

 

 

M&Aの際には、上記のように不動産一つをとっても、様々な問題を検討する必要が生じるわけですが、すべての企業でそのような検討が行われているかといえば、必ずしもそうとも言えないようです。
つまり、売却を希望している企業から提案された内容について、特に専門家のチェックを入れることなく社内で判断して買収を決定しているケースも多々あるようなのですが、これは場合によってはリスクまで買収している可能性があり、注意が必要です。

 

 

通常誰しも、何か値段の張る商品を買うときには、製造元や販売元の売り文句だけを聞いて購入を決める方は多くはなく、実際に商品を手にとって販売員などにいろいろと質問をし、詳細な説明を受けてから購入を決めるかと思います。
M&Aの場合、その商品の価格がかなり高額である上に、場合によっては購入後に買い手に損害を与えうるものであるほか、商品自体がとても複雑で、手にとって容易に確認できるものではないことから、本来はますます慎重な判断が必要となってくるはずです。

 

 

そのため、買い手側の企業としては、専門家を入れて様々な角度からチェックを行うべき、ということになります。
我々弁護士は、法的な観点から買収対象となっている企業や事業をチェックし、その結果を依頼者である買い手側の企業に報告するという法務デューデリジェンスを担当します。

 

 

たとえば買収相手の財産に不動産があるケースであれば、その不動産は隣地との境界がはっきりしているかどうか、また何か使用に制限があるような権利が設定されていないかなど、いろいろな検討を行うことになります。
何故かと申しますと、境界がはっきりしていなければ、将来隣地所有者との間で境界紛争が起こるかもしれませんし、もし自社で使用したいとして不動産の譲渡を受けたにもかかわらず、その不動産に他人の権利が設定されていれば、想定しているような使用ができない場合もあるためです。
また、買収相手が第三者から賃借している物件を引き継ぐ場合には、賃貸借契約の内容がどのようになっており、問題なく引き継げる契約となっているかなどを確認することになります。
なお、上記検討事項はあくまでチェックする項目の一例に過ぎず、他にもケースによって様々な法的リスクの確認を行っていくことになりますし、この調査は不動産に限ったことではありません。

 

 

このように、M&Aを行う際には、不動産だけを取り上げてみても様々な法的リスクの検討をするべき事項があります。
このようなリスクを把握することは、企業の購入価格を決める上でも重要と思われますし、そもそも買収するか否かという検討材料にもなってくるかと思われます。
従いまして、M&Aをご検討されている企業の経営者の方々は、それが売却する側の立場であっても、買収する側の立場であっても、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。